子育て 教師、保育士

どうしてこの子は、何度言ってもわからないの?──“特性”の見立てで変わる関わり

“その子らしさ”ってなんだろう?──行動の奥にある“特性”という視点

子どもたちと関わっていると、
「どうしてこの子はこうなんだろう?」
そんなふうに、ふと立ち止まりたくなる場面に出会います。

  • 何度言っても同じミスを繰り返す子
  • 授業中に立ち歩いてしまう子
  • 反応が鈍く、指示が通りにくい子

それは「指導の難しさ」であると同時に、
もしかすると「その子の特性」が関わっているかもしれません。

特性=その人がどう世界を見て・処理しているかを理解するための手がかり

「特性」という言葉は、特別支援教育でよく使われます。
けれど、どこか漠然としたまま、
「こだわりが強い」「不注意傾向がある」などの表面的な記述で止まっていることも少なくありません。

特性は、行動そのものではなく、
その人が「どう世界とつながっているか」を表す奥行きです。

たとえば──

  • 外の音が気になって集中できない子
  • 複数の指示を一度に言われるとパニックになる子
  • 言葉ではなく図や動きで理解する方が得意な子

そうした“情報の受け取り方・処理のクセ”が、
何度も・いろんな場面で繰り返されるとき、
それは「特性」として見えてきます。

「静かにしている=落ち着いている」とは限らない

たとえば、
じっと座っている子を「落ち着いている」と感じることがあります。
けれど、実際には緊張で固まっていたり、
指示が理解できずに動けないだけかもしれません。

逆に、うろうろしている子が、
頭の中ではちゃんと授業を聞いていることもあります。

「今、見えている行動」だけで判断せず、
その奥にある“情報処理傾向”に目を向けてみること。
それが、「特性を見る」という視点です。

“できない”ではなく、“つながり方が違う”

「できる/できない」で捉えると、
どうしても評価や改善の視点になってしまいます。

けれど、特性は「いい/悪い」でも「正すもの」でもありません。
“その人が、どんなふうに周りとつながっているか”
その“かたち”を知ることは、関わり方を考える出発点になります。

「一緒にいられる距離感」を探す

特性を見る視点は、
「どう支援・指導するか」だけではなく、
「どう一緒に居られるか」の視点でもあります。

  • 話すのが苦手な子に、沈黙のまま隣で待てるか
  • 集中できない子に、離れる自由を渡せるか
  • 手を出しすぎる前に、「そのまま」を観察できるか

現場でできる、特性を見るための問いかけ

  • この行動は「この場面だけ」か?
  • 繰り返し現れている「傾向」はあるか?
  • 環境との相互作用として見えているか?
  • 「今、何が情報として入っているか」を想像できるか?

まとめ:特性とは、“その人らしさ”の輪郭

「特性」とは、
その人の“理解の道すじ”や“感じ方”のかたち。

それが見えてくると、
行動に対する見方も、関わり方も、少し変わっていきます。

支援でも指導でもなく、
まずは「知ろうとする」こと。

その小さな視点の転換が、
子どもたちの“生きやすさ”を大きく変える一歩になるのだと思います。

-子育て, 教師、保育士