教員歴6年の元教員が執筆
関わってきた子どもの数述べ300人以上
特別支援学校での指導経験あり
さわりの子育ての考え方 〜教育観〜
大学や社会人時代も合わせると私は15年近く教育について考えてきました。
考える中で、最も大切だと感じたのは
「子どもが自分の頭で考えて行動できるように育てること」です。
例えば、あるすごい先生がいて、そのクラスでは子どもたちがみんな先生の言うことをきちんと聞いていました。
クラス全体がまとまって、どんどん課題を解決していく姿は、一見理想的に見えました。
しかし、次の年に担任が変わると、そのクラスの子どもたちは急に言うことを聞かなくなりました。
この時、よくあるのは新しい担任が「力量不足だ」と批判されることです。
でも、実は前の担任が、自分がいなくても子どもたちが自分で行動できるように育てていなかったのかもしれません。
また別のクラスでは、担任がいる日は子どもたちがたくさんの作業をこなします。
しかし、担任が休むと作業量が激減し、「先生、終わりました。次は何をすればいいですか?」と子どもたちは報告と質問をするばかりで、自分で考えて動けない様子でした。
担任は指示を出すのが非常に上手だったのですが、自分で考えて行動することは教えていなかったのです。
こうした例は全国の学校でよく見られる現象です。
先生たちは子どもたちのことを真剣に考え、失敗させないようにと一生懸命教えています。
けれど、失敗する機会を奪い、先回りし過ぎてしまうことがあるのです。
だからこそ、私は自分がいなくても動ける子どもたちを育てることが教育や子育てにおいて重要だと考えています。
障害があっても自立できる
障害が重い子どもたちに対しても、自立は可能です。
その場合は、行動を細分化し、部分的に自立させることが重要です。
例えば、食べたいものや着たい服を2択から選ばせることで、自分で決定する力を育てます。
掃除や片付けなどもできることを増やしていくことで、子どもたちの自立を促します。
支援者や指導者は、できないことをやってあげるのではなく、「どこなら自分でできるのか」を考え、手を離していくことが大切です。
このアプローチにより、子どもたちは自分の力で行動することを学び、自立する力を育んでいきます。
子育てにも同じ考え方を取り入れる
この考え方は、子育てでも同じです。
これからの社会は変化が激しく、将来を見通すことが難しい時代です。その中で、子どもが自分の頭で考えて行動できる力はますます重要になります。
私自身、1歳の子どもを育てる中で、なるべく手を出さず、口を出さずに、娘が自分で考えて行動できるように心がけています。
例えば、子どもが自分でお茶を入れたがる時、私は「こぼしたらこれで拭いてね」と雑巾を渡しておきます。失敗することもありますが、その経験を通じて学ぶ機会を大切にしています。
また、失敗した時には、「どうしたら上手くいくかな?」と一緒に考えるきっかけを与えるようにしています。
親や先生の役割は「適切なタイミングでの介入」
では、親や先生の役割は何でしょうか?それは、適切なタイミングで介入し、サポートを提供することです。
例えば、子どもが何かをしたい時、すぐに手を出して手伝うのではなく、まずは見守る。そして、子どもが困った時にサポートをする。
失敗は学びの一部です。大人がその失敗をサポートし、どうすればうまくいくかを一緒に考えることで、子どもは自分の力で解決する方法を身につけていきます。
最後に
これからの時代に必要なのは、自分で考えて行動できる力です。
教育や子育ての現場で、子どもたちにその力を育てるためには、大人が手を出し過ぎないことが大切です。
そして、失敗した時にはその学びをサポートし、一緒に考える機会を提供することが重要です。
支援者や指導者が、自分がいなくても動ける子どもたちを育てることは、未来を担う子どもたちにとって大きな力になるでしょう。