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教員歴6年の元教員が執筆
関わってきた子どもの数述べ300人以上
1歳児自宅保育中
1歳半:外遊びが育む、本当に大切な力
幼児期の教育や習い事に関心が高まり、早期教育や知育グッズを取り入れようとしている親御さんも多いかと思います。
お子さんの将来のために早くからいろいろなことを学ばせたい、という気持ちもよく分かります。
しかし、1歳半という時期に本当に大切なのは、体を使った遊びや体験を通して、脳や体を育てることです。特に、外遊びが大きな鍵となります。
早期教育よりも大切な「遊び」
脳の発達を支える基盤
この時期にお子さんが必要としているのは、知識を詰め込むことよりも、身体を動かして多くの感覚を経験することです。
外での遊びや体を使った活動を通じて、子どもは自分の体や周りの世界との関係を学びます。これが、将来の学びや集中力を育むための基盤になるのです。
外遊びでの「経験」は、体を動かし、周囲を観察し、さまざまな感覚を統合する力を自然に養います。
つまり、目と手を協調させたり、体のバランスを取ったりする能力が発達していくのです。
「感覚統合」が大切な理由
「感覚統合」という言葉は、聞きなれないかもしれませんが子どもにとって、実はとても大切なことです。
これは、視覚や聴覚、触覚など、さまざまな感覚を脳がうまく整理し、体をうまく動かせるようになることを指します。
例えば、ブランコで体を揺らしたり、砂場で手を動かして遊ぶ経験が、脳に多様な刺激を与え、目と手を協調させたり、バランスを取ったりする力を育てます。
これが、後々の学びや生活において非常に重要な力となります。今はまだ「遊び」に見えるものが、実は将来の基礎を作っているのです。
学習を支える姿勢と基礎能力
学校での学習場面を想定すると、学ぶための姿勢や集中力を保つには、平衡感覚や筋力、さらには目で追う力など、さまざまな基礎能力が求められます。
姿勢を保てることで、目でノートを追うことができ、文字を書くための基礎が整います。
具体的には、以下のような能力が関わってきます。
1. 姿勢を保つ力
正しい姿勢を保つことで、集中力が持続します。遊びの中で体を動かし、バランスを取る経験が、姿勢を支える筋肉を育てます。また、自分の体がどの位置にあるかわかる能力、たとえば体が傾いていると自分でわかることも重要です。これは、自分の体の傾きを感知してフィードバックし、傾きを戻すことで良い姿勢を保つ力に繋がります。
2. 追試能力
物を目で追う力が身につくと、教室でのノート写しや視覚的情報の理解がスムーズになります。遊びを通じて、目の動きや対象物を認識する能力が自然と育まれます。
3. 目と手の協応
手先を使う遊びを通じて、目で見ながら手で操作する力が養われます。文字を書いたり、はさみを使ったりするためには、この目と手の連携が不可欠です。
目と手の協応の基礎の基礎として、さまざまな感触のものを触る経験が重要です。これがないと、警戒心や自己防衛のために触ることを嫌がるようになることがあります。
※感覚過敏の場合は“絶対に“無理に触らせてはいけません。
本人が触りやすいもの(例えばさらさらしているお米やマカロニは比較的触れる人が多いです。)から感覚遊びをしてみましょう。
また、自己コントロールできない場面の方が拒否反応が出やすいです。
(私たちも人にくすぐられるとくすぐったくても、自分で触る分には大丈夫ですよね。感覚過敏のある子も同じです。音が苦手な子には録音したものを自分で調節しながら音量を上げてみる、触るのが苦手な子にいきなり触らせるのではなく自分のタイミングで触ってもらうなど、本人のタイミング、コントロール感を大切にしましょう。)
発達に隠れた「名もなき成長」
発達というと、寝返り、立つ、歩く、発語、字を書くことなど、具体的な成果に目が行きがちです。
たとえば、つかまり立ちの時期に左右に揺れて歩く準備をしたり、親の言葉を聞いて蓄積したりすることが、それにあたります。これらの大人には見えにくい行動や経験は、成長の重要な一部でありながらも見過ごされがちです。
今できないことに悩み、できないことにフォーカスするよりも、「名もなき発達」に目を向けることで子どもをポジティブに見ることができます。
子供がやりたがっていること(例えば、左右に揺れること、ティッシュを引き出すこと、ものをコップに入れることなど)に成長のタネやヒントがあります。
名もなき発達を満足するまで経験させてあげることが大切です。
自分の成長に必要なことは子ども自身が知っています。
遊びが学びにつながるプロセス
では、実際にどのような「遊び」が、子どもの発達に大きな影響を与えるのでしょうか?以下に、うちの子のエピソードを交えて説明します。
1. ブランコをする
うちの子は自分でブランコに乗れるようになりました。ブランコでの遊びは、立ち直り反応や平衡感覚が基礎になっています。立ち直り反応とは、体が揺れたときにバランスを保つための自動的な動きのことです。うちでは、赤ちゃんの時には「バスにのって」を歌いながら立ち直り反応を引き出したり、1歳になってからはピラティスボールを子供用のバランスボールとして使ったりしています。バランスボールに乗せて遊ぶと、自然と平衡感覚が養われ、姿勢を支える筋肉も強化されていきます。
2. 砂場での遊び
砂場では、うちの子は裸足になって砂を触ることを楽しんでいます。砂の感触を感じることで、触覚が刺激され、手先の感覚が研ぎ澄まされるため、将来的な手先の器用さに繋がります。特に、砂をこねたり、型抜きをしたりすることで、手指の使い方や力加減を学ぶことができ、手先を動かす基礎が作られます。
3. 滑り台に挑戦
滑り台でも自分で階段を登り、滑って楽しむ姿が見られます。家用のジャングルジムに滑り台がついているので、慣れてから外でも滑るようになりました。1歳半でも自分でできることが増えてきましたが、公園の滑り台では階段が高すぎてつまずき、転んだこともありました。段差が頭や歯に当たりそうになったので注意が必要です。転んだ後、怖い記憶が定着する前にすぐもう一度挑戦させ、成功体験をさせました。
1歳半でも失敗を経験すると、次からは気をつけるようになります。滑り台の階段を上がるときにはよく観察したり、手をつく位置を考えたりするようになりました。滑り台以外でも、段差で転ぶとお尻から降りるようになったり、頭をぶつけると同じ位置を通る時に頭を下げるようになったりするなど失敗から学ぶ姿が見られます。過度に危険を回避させず、大きな怪我にならない環境であれば失敗を経験させてあげることも大切だと感じました。
4. でこぼこ道や坂を歩く
道路は整備されているため、歩くことには慣れてきましたが、平坦な道だけでなく、でこぼこのある場所や坂を歩く経験も大切です。でこぼこした場所や坂道を歩くことで、子どもは姿勢を維持する力を自然に養い、筋肉を使って体のバランスを保つ方法を学びます。このような体験を通じて、平衡感覚や固有感覚が養われ、後の運動能力や自信にも繋がります。
最後に:今、子どもに本当に必要なこと
1歳半というこの大切な時期に、本当に必要なのは、外での体験を通じた遊びです。早期教育や知育玩具も魅力的ですが、まずは自然の中で体をたくさん動かし、子どもが自分の体を感じ取る時間を大切にしましょう。こうした体験が、将来的な学びや成長にとって何よりの土台となるのです。
親としては、知識を早く身につけさせたいという思いがあるかもしれませんが、この時期は、体と脳を一緒に育てることがもっとも重要です。ぜひ、午前中の外遊びを習慣化し、お子さんの健やかな発達をサポートしていきましょう。