教員歴6年の元教員が執筆
関わってきた子どもの数述べ300人以上
1歳児の自宅保育中
今回は発達支援の専門家が親の立場で見た1歳半検診について話していきます。
1歳半検診に行く人
1歳半検診を行なっている人
この記事の内容
1. 検査の内容や所要時間、持ち物、待ち時間の工夫
2. 子供と親の待たせ方に関する考察(検査者向け)
3. 検診スタッフの知識とアドバイスの質について
4. 発達検査の意義と親の理解不足について
5. まとめ:SNS時代の親が求めるもの
1. 検査の内容や所要時間、
持ち物、待ち時間の工夫
私の住んでいる地域では、病院ではなく市の施設に集まって一斉に行う方法でした。
持って行ったもの
ちなみに他の子はアンパンマンのぬいぐるみや電車など
自分の好きなおもちゃを持ってきていました。
検査内容・所要時間
地域によって内容が異なる場合があります。
- 入り口でチェック
- 悩みの確認
- 身体検査
- 歯科検診
- 問診
1.入り口でチェック
問診票やアンケート、母子手帳をチェックされました。
バッグからすぐ出せるようにしておくと良いです
2.悩みの確認
中に入って椅子に座り、悩みの確認がありました。
特にないと伝えたところ「スタンダードで」と言われました。
※今回はスタンダードと言われましたが、発達が気になる場合は別の対応があるかもしれません。
待ち時間 約15分
3.身体検査 約10分
服を脱がせて、おむつ一丁で身長と体重を測りました。
0歳の時の検診では、おむつが汚れていると重くなるので、新しくしてから測っていました。
今回は私の見る限りではおむつを替えている子はいなかったようでした。
ありがたかったこと!
- アンパンマンのおもちゃを用意してくれていて、持ったまま測ってOKだった!(多分重さを引いてくれている?)
- 身長を測るため横になったら、天井にアンパンマンのイラストが貼ってあった!すごい配慮!(でも本人は泣いて気づかなかった)
親や検査者が検査をスムーズにするためできること
- 測る前に子どもにも説明をする。
- 「これから重くなったか見てみようね。ここに乗ってください」
- 「背が伸びたかな?するよ。痛くないからね」
うちの子は以前、いきなり非接触型体温計を近づけられて泣いていましたが、
「おでこにピッ!するよ。痛くないからね〜」と説明されると泣かずに測ることができました!
幼い子でも大人の言葉のトーンや意味は伝わります。丁寧に説明をすることで、不安が和らぎ、検査を受けやすくなる効果があります
また、親から見るといきなり体温計を近づけてくる人には子どもをぞんざいに扱われた感じがしてしまいますが、声をかけてくれると信頼感がグッと上がります。
待ち時間 約30分 絵本を用意してくれていました。
4.歯科検診
頭を先生の方へ向けて仰向けで検査をしました。
この頃には疲れもあり、ギャン泣きしていました。
待ち時間 約10分
5.問診
イラストの指差しや積み木はなく、問診票をもとに確認をしていました。
2. 子供と親の待たせ方に関する考察(検査者向け)
検診会場には待ち時間がありましたが、待ち時間がただの「退屈な時間」になってしまい、非常にストレスフルでした。
支援センターのような待機環境を作るのがおすすめです。
子供がリラックスしていつも通りの力を発揮しやすくなり、
リアルな発達の様子を観察できるようにすることが大切です。
日本では「子供が環境に合わせる」ことが多いように感じますが、子供に合わせた環境設定があることで、特別な支援が必要な子供たちも安心して過ごせるようになります。
3. 検診スタッフの知識とアドバイスの質について
検診で対応してくれた保健師や歯科衛生士の方々のアドバイスが、少し「通り一遍」の内容に感じられました。
SNS時代の親たちが求める情報
現代の親たちはSNSやネットを活用して、自ら情報を調べる習慣がついています。また、共働き家庭の増加に伴い、専門的な知識を持つ親も少なくありません。
そのため、「誰でも知っている一般的なアドバイス」だけでは満足できず、より具体的で専門的なアドバイスが求められているように感じます。
親が求める「個別性」とは?
現代の親たちが、検診でのアドバイスに「物足りなさ」を感じる理由の一つに、個別性の欠如があります。
確かに、「あいうべ体操」が有効な場合もあります。しかし、親が本当に聞きたいのは、「うちの子の場合、どうしたら良いのか?」という具体例や応用方法です。
一般的なアドバイスと個別性の違い
- 一般的なアドバイス:
「あいうべ体操をやってみてください。」
これは多くの親に当てはまる指導ですが、どの程度行えば良いのか、いつ効果が出るのか、どんな場合に改善が難しいのか、といった具体性が不足しています。
- 個別的なアドバイス:
「舌小帯が短い場合、成長と共に改善されることも多いですが、お子さんの場合、発音に影響が出ている可能性もあるので、1日〇回を目安に続けてみてください。それでも改善しない場合は、〇ヶ月後に専門医に相談してみると良いかもしれません。」
親が「今の状態から次に何をすれば良いか」が具体的に分かるアドバイスです。
親は、「このまま放っておいて大丈夫?」「自分にできることはなんでもしたい」「なにをしてあげたらいいの?」といった不安を抱えています。具体的で個別的なアドバイスは、その不安を解消する力があります。
検診で個別性を取り入れるために
検診でより個別的な対応をするためには、次のような工夫が考えられます:
1. 問診票の工夫
親の自由記述欄を増やし、親が具体的に心配していることや希望するアドバイスを書けるようにする。また、具体的な困りごとの例を入れることで親が困り感に気がつけるようにする。
2. 対話型のアドバイス
専門家の「大丈夫」の判断の前に、親が「どう感じているか」を丁寧に聞きながら、個別に寄り添った説明を心がける。
3. フォローアップの提案
「今は問題ないように見えますが、もし気になることがあれば、〇ヶ月後にこの点を見直してみましょう」といった中期的な視点を提供する。
4. 地域のリソースを紹介
検診の場で解決しきれない場合、地元の療育センターや専門機関などの情報を積極的に共有する。
4. 発達検査の意義と親の理解不足について
検診において、発達検査の意義を十分に理解していないまま受けている親が多い印象を受けました。
発達検査は、平均からの「ずれ」をチェックするものではありません。
しかし、親がその意義を知らなければ、単なる「不安をあおる検査」に感じてしまうリスクがあります。
検診の場では、検査の意義や目的を親が理解できるような説明があると良いと感じます。
また、スタッフ自身がその意義を十分に理解しているかどうかも重要で、こうした意識があれば親も安心して検査を受けられるでしょう。
1歳半検診の意義と「定型発達」の意味
1歳半検診の目的は、子どもの発達が「平均的な発達」からズレているかを確認することではなく、将来的に生活の困難につながる可能性があるかを見極めることです。
そして、必要に応じて早期に治療や療育などの支援につなげることが検診の大きな意義です。
「定型発達」とは、あくまで多くの子どもに共通する平均的な発達の流れを指す言葉であり、「正しい発達」や「優劣」を示すものではありません。発語や歩行のタイミングなど、子ども一人ひとりに自然なペースがあることを理解することが大切です。
検診は親にとって「平均から外れるのは悪いこと」という誤解を生む場合もありますが、実際にはその子がより安心して成長できる方法を見つけるためのステップです。
私の考える、1歳半検診の意義は以下の2点です。
1. 子どもの生活の困難を早期に見つけ、必要なサポートにつなげる。
2. 発達の多様性を尊重しつつ、親がその子のペースを理解するきっかけを作る。
このように捉えると、検診は「平均的な基準に合わせるための場」ではなく、「子ども一人ひとりの成長を支えるための機会」として親にとっても大切な時間になるはずです。
5. まとめ:SNS時代の親が求めるもの
現代の親たちは、昔と比べて情報量の多い中で生活し、すぐにネットで調べる習慣があります。
そのため、検診で得られるアドバイスも、一般的な内容からさらに一歩踏み込んだ具体的なものであってほしいと感じました。
SNSやインターネットで得られる情報だけでは満たされない「現場での実践的なアドバイス」があれば、親たちもより安心して子供の成長を見守れるのではないでしょうか。