教員歴6年の元教員が執筆
関わってきた子どもの数述べ300人以上
執筆時、1歳児自宅保育中
このように、子どもの成長に関するモヤモヤや心配を抱えた経験はありませんか?
この記事では、具体的な行動や言葉のエピソードをもとに、運動・言語・社会性・認知の発達がどのようにつながっているのかを考察しています。
発達の進み方には個人差があり、すべての子どもが同じ順序やペースで成長するわけではありません。
「他の子どもと比べるのではなく、目の前の子どもをじっくり見つめる視点」を大切にしており、少しでも読者の参考や安心につながれば嬉しいです。
運動発達と手指の発達
エピソード
・小さい浮き輪を指でくるくるするパパを真似している(うまくは回せない)
・スプーンの上下に気づいて自分で直すこともあった
・ベビーカーがぶつかりそうな時後ろに下がる
・「ぴょん」と言いながらジャンプをする(若干床から足が離れているが、ほとんど離れない時もある)
考察
運動発達は、粗大運動(体全体の動き)から微細運動(手指の細かい動き)がだんだんできるようになっていきます。
歩行はかなり安定してきて、両手にものを持っていても上手に歩けるようになりました。
ジャンプは、以前は跳んでいるつもりで跳べていませんでしたが、少しだけ足が床から離れるようになってきました。
粗大運動の発達:空間認識と予測力
「ベビーカーがぶつかりそうな時後ろに下がる」行動は、空間認識や予測力の発達を示します。この動作には、視覚情報を基に「危険な状況を回避する」判断力が必要です。
微細運動の発達:巧緻性と模倣行動
「浮き輪をくるくる回す真似をする」行動は、模倣能力の発達を示す典型例です。この時期の子どもは、動きを真似ることで「どうやれば同じ結果が得られるか」を試行錯誤します。まだうまくいかないのは当然ですが、この模倣が繰り返されることで、手指の巧緻性が向上します。
「スプーンの上下を直す」行動は、自己修正能力の芽生えを示します。この能力は、物事を「どうすれば正しく使えるか」を考える基礎となります。
言語発達|模倣から意味理解へ、発語の急成長
エピソード
・「川」を真似して「あわ」
・「だあいすき」を真似して「だーいき」
・「せんきゅー」を真似して「チェキュー」
・「3、2、1ポーン!」と言ってボールを投げる
・「ドキンちゃん」「バイキンマン」「ケーキ」と発音できるようになる
・「みかん」「ご飯」「じゅーちゅ」と欲しいものを伝える
・「〇〇ちゃん」と動画や鏡の自分の姿を見て、自分の名前を呼ぶようになった
・足にハマる。「あし!」と言って大爆笑しながら足を触る。
考察
1歳6ヶ月から8ヶ月の間に、言葉の模倣→単語の獲得→意味の理解という流れが見られます。(実際は一つずつ進むのではなく、全てが同時に見られる。模倣もするし、理解して使う時もあるというように。)
模倣行動
「川→あわ」「せんきゅー→チェキュー」など、耳で聞いた音を自分の言葉に置き換える段階。発音は未熟でも、音声を再現しようとする意欲が強まっています。
この時期、以前より言葉を真似する回数が格段に増えました。口の発達に伴って、発音が上手になったので真似が楽しいのかもしれません。
唇をとんがらせて、「う」と言ったり、舌を「べー」と出すのも上手になりました。模倣を繰り返すことで、発音が次第に明確になり、語彙が増えているのを実感しました。
意味の理解
「3、2、1ポーン!」と言ってボールを投げるように、言葉と行動が結びつき始めました。ここには「カウントの理解」と「運動の模倣」が組み合わさっています。動きと言葉がセットで使われることで、言葉の意味や使い方が深く理解されます。
自己主張の発語
「ケーキ!」「チュルチュル(うどん)」のように、欲しいものや興味のあるものを言葉で伝えられるようになります。これは自己主張の発達とも関わっています。
言葉は単なる音ではなく、社会的なツールとしての役割を果たし始めています。
言語と自己認識の結びつき
名前を発することは、言語の発達と自己認識の進展が結びついていることを示します。
自分の名前が自分を指す言葉だと理解し、それを言葉として再現する能力が育ちつつあります。
また、体のパーツへの興味=自己認識の発展と考えられます。
体のパーツへの興味が急に高まる瞬間が見られました。また、うちの子は「どうぞ」や「はいポーズ」よりも足への興味の持続が長いです。
子どもが足や耳に触れる行動は、自己認識が育っている証拠です。「自分の体の一部」を認識し、その名前を覚えることで、自分をより深く理解する段階に進んでいます。ぬいぐるみや絵本でも足や耳など体のパーツを確認して喜んでいます。
言葉と社会性・情緒の発達|2語文が出てきて他者との関わりが広がる
エピソード
・「どうぞ、パパ」「はい、ママ」と言ってものを渡す(2語文?)
・「どうぞ、パパ」と言ってパパのものを渡し、ママにはママのものを渡す(所有の意識)
・「タッチ」と言って手を合わせる
・「バイバイ」と言って手を振る
・「いやいや」と自己主張をする
・1歳7ヶ月では「はいポーズ!」でニコニコとポーズをとっていたが、1歳8ヶ月ではやらなくなってきた。
考察
他者とのコミュニケーションが増え、言葉や行動を使って関わりを楽しむようになりました。
「どうぞ」や「タッチ」の行動は、親や周囲とのやり取りを通じて、自分が行動を起こすことで他者に反応があることを学ぶプロセスです。
・「どうぞ」と言ってものを渡す行動は、言語と動作を組み合わせた社会的やりとりの発達が見られます。
・「いやいや」と自己主張する行動は、自我の芽生えを示し、情緒の発達が進んでいることを表します。
言葉の発達 2語文
2語文は、言葉の発達において大きなステップであり、子どもが言葉を使って状況や意図を伝える能力が育ち始めていることを示します。
「ママ、おいしい」と言ったとき、これは自分が美味しいと感じていることを伝えたいのか、それともママに「美味しい?」と尋ねているのか微妙なところでした。ただ、普段から「○○ちゃん美味しい?」と声かけをしているため、ママへの質問として発した可能性が高いです。
この行動は、単なる模倣だけでなく、言葉を「やりとりの道具」として使い始めたことを示します。「質問の形を模倣する」という段階を経ることで、子どもは徐々に状況や感情を他者に伝えるスキルを発達させていきます。
子どもが「どうぞ」と言いながら、パパに物を渡す場面がよく見られました。この「どうぞ」の言葉は、単に物を渡す行動に言葉が付け加わったものではなく、やりとりの社会性を反映しています。
所有意識の芽生え
子どもがママのものだと認識した物を、「ママ、どうぞ」と言って渡してくれる場面がありました。
この行動は、子どもが他者の持ち物や役割を理解し始めていることを示します。自分と他者を区別する能力や、「物と人の結びつき」を意識する力が育っている段階です。
これらのエピソードは、子どもが言葉を使い始めるだけでなく、社会的なやりとりや所有の概念を学び、さらに表現力を高めている様子を具体的に示しています。2語文は単語の組み合わせだけではなく、子どもが世界をどう見ているかを親に伝えてくれる大切なヒントです。
変化からの気づき
「はいチーズ」のポーズも他者とのやり取りを感じさせますが、やらなくなってきたのは、興味や発達段階の変化を示しています。一時期できていたことをやらなくなるのは、新しいことへの興味が優先されているのかもしれません。
認知発達と問題解決|観察と行動のつながり
エピソード
・犬のおもちゃが倒れたら戻す
・シールブックのカニを指さして「かに」と言う(教えた記憶はない)
・机で10〜15分集中してお絵描きやスライムをする
考察
認知発達では、問題解決の力が見られるようになってきました。
・犬のおもちゃが倒れたら戻す行動は、倒れた状況を認識し、改善するために行動するという問題解決能力が見られます。
・「シールブックのカニ」のように教えた記憶がなくても言えるのは、観察力と記憶の発達が進んでいる証拠です。
焦りを減らす考え方|発達には「準備期間」がある
子どもの発達は直線的ではなく、「成長の波」のように進んでいきます。
たとえば、言葉がまだ出ていなくても、周りの音や雰囲気を感じ取りながら、次の一歩に向けて力をためている可能性があります。
「今この子は、どんな準備をしているのかな?」と考える視点を持つと、焦りが少し和らぐかもしれません。
親としてできること
1. 焦る気持ちをそのまま受け止める
「他の子と比べて焦ってしまう」と感じる気持ちは、子どもを大切に思っている証です。無理に「比較するなんて酷い親だ」「頑張っていいところを見つけなきゃ」と思い込む必要はありません。「今、私はこの子の成長をすごく気にしているんだな」と、その気持ちを一度受け止めてみるだけで、少し心が軽くなることがあります。
2. 子どもの「今」に目を向ける
今できていることや楽しんでいることを観察してみるのもおすすめです。たとえば、何かを見てじっと考えているような様子や、好きなおもちゃを手に取る仕草にも、その子なりの成長のヒントが隠れているかもしれません。
3. 子どもの好きなことを一緒に楽しむ
子どもが興味を持っていることや得意なことに寄り添ってみましょう。たとえば、好きな音楽に合わせて体を揺らしたり、絵本を一緒に見る時間を増やしたりするのもいいですね。無理に力を「引き出そう」とせず、楽しい時間を共有することで、成長のきっかけになることも多いです。
単純比較が焦りを生む理由|情報にはバイアスがかかっている
私自身、できていることばかりを記録していて、できないことについてはほとんど書いていません。
また、SNSでも「できる場面」や「成功の瞬間」が切り取られている傾向があります。
これらの情報をそのまま子どもの成長と比較してしまうと、どうしても「他の子と違うのでは」と感じてしまいがちです。
こうした情報には「バイアス」がかかっていることを理解しておくと、少し気持ちが楽になるかもしれません。
参考 1歳6〜8ヶ月の観察結果一覧
以下は私が記録してきた観察結果の一覧です。この情報を元に記事をまとめました。
【1歳6ヶ月】
・小さい浮き輪のおもちゃを指でくるくるするパパを真似している(うまくは回せない)
・「3、2、1ポーン!」と言ってぼボールを投げる
・「川」を真似して「あわ」
・「おんぶ」と言える
・「ピップ」と言ってエレベーターや電気のスイッチを押せる
・小さいコショこしょ声で「た、た、た」
・ベビーカーがぶつかりそうな時後ろに下がる
・絵本を片付けられる
・引っ張るとコロコロついてくる犬のおもちゃが横に倒れたら、犬のところまで戻って直すことができる
・「いやいや」と言える
・「せんきゅー」と聞いて「チェキュー」と真似
・「ペーパー(紙)」「アポー(りんご)」と言える
・「チェ、チェ、チェ」と言える
・「おいしそうね〜」と聞いて「おっしょう!」
・「おっきい」と真似
・「バイバイ」と言って手を振る
・「タッチ」と言ってタッチ
・気がついたらおっぱいと言わなくなった(離乳)
・「だあいすき」と聞いて「だーいき」
・「なんか振りそう」と聞いて「あめ!(雨)」
・電車を見て「でんしゃ」
・「てんてんどんどん(アンパンマンの)」
・「ぶんぶんぶんはちがとぶ」と聞いて「ぶんぶん』
・「おいす」
・「お散歩」と聞いて「ぽ」
・「オッケー」と言える
・こきんちゃんの歌を聞いて「えーんえーんえーん」タイミングもバッチリ
・「ちょうちょ」「かめ」
・スプーンの上下に気づいて自分で直すこともあった
【1歳7ヶ月】
・「てて」「おてて」(手のこと)
・絵本を見て「もも」
・絵本を見て「ダディ」
・シールブックのカニを指さして「かに!」教えた記憶はない
・「今日のご飯はハンバーグ」と聞いて「ハンバーグ」っぽいことを言う
・アンパンマンのケーキを見て「ケーキ!」
・せんべいが欲しいときに「ペンベイ!」
・ママたちのケーキを指さして「ケーキ!ケーキ!」と欲しがる
・「こわ!」ときいて真似
・「どうぞ」と言ってものを渡す
・どうぞブーム
・「どうぞ」と言ってものをもらう
・机で10〜15分集中してお絵描きやスライムをする。
・「はいチーズ!」でニッコニコでポーズを作る
・足を指さして「あし!」というのにハマる(大爆笑)
・「耳!」と言って耳を触る
・動物のぬいぐるみやイラストでも足や耳がわかる
・「アーンパンチ!」とパンチする
【1歳8ヶ月】
・「どうぞ、パパ」と言ってものを渡す(2語文?)
・「はい、ママ」と言ってものを渡す(2語文?)
・「パパ」と言ってパパのものを渡す(所有)
・「ママ」と言ってママのものを渡す(所有)
・「ドキンちゃん」と言える(前から認識はしていて、名前を聞かれて指さしはできた)
・「バイキンマン」と言える(前から認識はしていて、名前を聞かれて指さしはできた)
・「ぷーん!ぷーん!アンパンマン!」と言ってアンパンマンのスプーンを持ってきて欲しいことを伝える
・「ママ、美味しい」という。(自分が美味しいことを伝えているのか、ママが食べているのを見て、おいしいか聞いているのかはわからない)
・「みかんといえる
・「ご飯」
・「じゅーちゅ」
・「サンタさんを指さして「サンタさん」
・うどんが欲しいとき「ちゅるちゅる」
・うどんが売っているのを見て、「ちゅるちゅる」
・いちごのイラストを見て「いちご」
・真似して「ゾウさん」「ライオン」
・「見て!アンパンマン」と言う
・夜に「今からお話ししよ」と聞いて「ねんね!」
・「何が美味しかった?」と聞くと「パン!」ただし、その後の質問にもなんでも「パン」と答えた。(多分パンという答えが喜ばれたから)
・鼻がほじれるようになった
・「バイバイきーん」とバイバイする
・どうぞブーム終了
・「はいチーズ」で片手間でポーズ、もしくはやらなくなってきた
・うどんにハマる。パンは前ほど食べなくなった