ビジネス、障害者雇用

知らないと損する。障害者雇用を成功させるなら業務の切り出しを徹底せよ

障害者へ任せられる業務がわかりません。どうやって障害者雇用を進めていけばいいの?

 

さわり
さわり
初めての障害者雇用は形を整えていくのが難しいですよね

 

このようなお悩みを解決していきます。

 

障害者雇用をするにあたって、「どの業務を任せるか」「どう切り出すか」は、最も重要なことの一つです。

 

なぜなら、個々の障害の特性や得意分野に合わせることで、生産性を高めるだけでなく、働く人の満足度も向上するためです。

 

本記事では、企業が障害者の能力を活かせる業務をどう選び、切り出すか、その基準と手法をわかりやすく解説します。

 

1. 障害特性に応じた業務の見極め方

障害には、身体的なものから知的、精神的なものまでさまざまです。業務を選ぶ際には、それぞれの障害特性を理解し、適切な仕事を切り出します。

今回は比較的多くの人に当てはまりそうな特性をもとに説明していきます。

※下記は一例のため当てはまらない人もいます。

繰り返し性のある業務

繰り返しのある業務は、一定のペースを維持できます。見通しが持てないことからパニックに繋がることを防ぎ、精神的な負担が軽減されることがあります。

具体例として、袋詰めやテープ貼り、封筒作成、切手貼りなどの軽作業やデータ入力が挙げられます。

特に障害がない方で繰り返し作業は苦痛になる人も多いかと思いますが、障害特性によってはここでものすごい集中力を発揮する人もいます。

さわり
さわり
私は繰り返し作業は非常に苦手ですが、特別支援学校にいた生徒で慣れた作業を集中して非常に丁寧に行う子もいました。得意な作業を任せた時の威力は素晴らしいです!

 

コミュニケーションの齟齬が出にくい業務

対人関係のストレスが発生しやすい業務は、コミュニケーションの齟齬や精神面での負担を考慮する必要があります。

口頭指示だと伝わりづらく、視覚的な支援が必要な場合もあります。なるべく障害者理解のある人が関わるようにしてあげたほうが業務がスムーズに進みやすいです。

顧客との対話が少なくて済むバックオフィス業務が向いている場合もあります。

 

成果が目に見える業務

自分の仕事の成果が実感できる業務は、抽象的な理解が苦手な人でも、モチベーションを保つ上で効果的です。製造や在庫管理など、達成感を感じられる業務も適している場合があります。

細かい作業や集中が求められる業務も、障害がある方でも工夫次第で取り組める可能性があります。事務作業や品質管理の補助なども候補となります。

 

メモ

これまでに話した業務の共通点は以下の通りです。

・見通しが持てる

・作業や成果が目に見える

・抽象的でなく、具体的な指示が出しやすい

業務を切り出す時にはこの3点を頭に入れておくと考えやすくなります。

 


2. 具体的な業務の切り出し手法

業務を適切に切り出すには、現在のタスクを見直し、分解する作業が求められます。次に、切り出しのプロセスと具体的な手法を紹介します。

 

 

業務の分解

まず、企業内の各業務を細分化し、業務を洗い出します。

この時のポイントは障害者には難しいだろう、という偏見を持たないこと。本当は任せられる仕事にも関わらず、自分の偏見が原因で任せられなくなってしまうのは勿体無いです。

 

さわり
さわり
私は元教員なので、教員の仕事を例に業務の細分化をしてみます。

教員の仕事は多岐に渡りますが、ここでは大まかに授業準備、保護者対応、事務仕事を細分化してみましょう。

 

授業準備

・教材研究(教科書を読む、補足知識を増やす、評価項目やテストの確認)

・授業の構成(生徒の理解度把握、導入、展開、まとめ、評価の取り方を考える)

・板書計画を立てる

・必要な道具の準備(黒板に貼るイラスト作成など)

 

保護者対応

・連絡帳(学校からの個別の連絡事項、保護者の連絡への返事など)

・電話対応

・面談(学校での様子、今後の相談など)

 

事務仕事

・学級通信作成(週予定など)

・学年だより作成

・時数の計算(1週間にどの授業を何時間行ったかなど)

・クラスや学年の会計

・テストの丸付け

・出欠記録の月末作業

・面談日程調整

・年度初めの仕事(名簿作成、机や椅子・ロッカー・靴箱などの名前書き、クラス替えをした学年はファイルなどを新しいクラスに分け直す、など)

 

業務の切り出し

 

業務を細分化したので、業務の切り出しを行います。

先ほど伝えた通り、見通しが持てる、目に見える、具体的な指示が出しやすい業務を洗い出します。作業者が考えて判断する必要がない、誰がやっても同じようにできるというのがポイントです。

実際に教員の仕事でやってみます!切り出せそうな仕事に黄色い線を引きました。

 

授業準備

・教材研究(教科書を読む、補足知識を増やす、評価項目やテストの確認)

・授業の構成(生徒の理解度把握、導入、展開、まとめ、評価の取り方を考える)

・板書計画を立てる

・必要な道具の準備(黒板に貼るイラスト作成など

さわり
さわり
自分が授業をするので誰かに準備してもらうのは難しかったです。授業で黒板に貼るイラストや紙で作る板書などは頼めそうですね。ただし、毎回指示を出す必要があるのは大変そうです。

 

保護者対応

・連絡帳(学校からの個別の連絡事項、保護者の連絡への返事など)

・電話対応

・面談(学校での様子、今後の相談など)

さわり
さわり
保護者対応は難しい判断や信頼関係の構築など人に任せられないことが多く、切り出せませんでした。

 

事務仕事

・学級通信作成(週予定など)

学級通信はクラスの様子を伝えたり、来週の計画を自分が立てるので、その指示を出すより自分でやった方が早いです。

 

学年だより作成

カレンダーに行事を打ち込むことをお願いできそうです。

 

時数の計算(1週間にどの授業を何時間行ったかなど)

正直迷いました。時数の計算が間違っていると授業時間が足りなくなってしまうためです。ダブルチェックは必要になりますが、それでもやってもらえると助かると思いました。

また、自分自身が苦手な作業なので、障害がある人には難しいかもしれないと思っていることにも気がつきました。偏見は持たない、と意識すると自分よりもこの業務が得意な障害者もいるかもしれないと思いました。

 

・クラスや学年の会計

これも迷ってやめましたが、計算が得意な人なら任せられるのかもしれません。多少複雑なので今回は切り出しませんでした。

 

・テストの丸付け

これを切り出さなかったのは意外でしょうか?実は丸付けは判断が難しいことが多々あります。漢字の微妙なとめ、はね、はらいなど。どのラインは丸か、三角かなどが難しいです。また、児童生徒の理解度を把握するために自分で丸付けをしたい気持ちもあります。(こうやって手放さないから、教員の業務は増えていくんだろうな…)

一部任せるという判断をした方がいいのかもしれませんね。テストは自分がやるけれどドリルは切り出すなど。ポイントは責任の重さ。比較的軽ければ任せてしまう。心配ならチェックする。チェックだけなら負担は減ると思います。

こうやって少しでも任せる範囲を増やしていくことが相手の成長につながる気がします。

 

出欠記録の月末作業

これは毎月同じことをするので、一度教えればその後はすぐにお願いできます。

大した業務ではないですが、面倒なものです。

一人分の仕事では業務が削減されたと感じにくいのですが、例えば1学年3クラスある小学校なら18クラスあるので、18人の仕事を減らすと考えると大きいですよね。18クラス分になると単純作業でもそれなりの仕事量にもなります。

 

面談日程調整

これも悩んで初めは切り出しませんでした。保護者の希望日をパズルのように当てはめればいいのでお願いはできますが、抜けや漏れが心配でした。

また、兄弟での日程合わせや話をしたいから最後に入れたいなどの微調整をお願いするのが大変なので自分でやった方が早いと思いました。

でも、これも18クラス分お願いできるなら丁寧に説明して任せたほうが後々学校全体として楽になっていく気がしました。

業務を任せるのは慣れるまでは大変で、自分でやった方が早いと感じがちですが、長期的な観点で切り出しをしていくことが大切だと実感しました。

 

・年度初めの仕事(名簿作成、机や椅子・ロッカー・靴箱などの名前書き、クラス替えをした学年はファイルなどを新しいクラスに分け直す、など)

年度初めはものすごく忙しいので、このような誰でもできる仕事はぜひお願いしたい!学校も障害者雇用をもっとできそうですね。

 

さわり
さわり
人に仕事を任せるのって勇気が必要ですね…!

 

マニュアルやチェックリストの準備

業務の内容や手順を分かりやすくまとめるため、マニュアルやチェックリストを作成します。これにより、作業の進捗を一目で確認でき、働く側も自信を持って進められる環境が整います。

 

 

適性テストやトライアル期間の設け方

業務が障害者の得意分野や性質に合っているか見極めるために、トライアル期間を設けます。この期間中に、適正なフィードバックを行い、双方が無理なく続けられるかを見定めます。

 

チーム内での役割分担と支援体制

切り出した業務が孤立することなく、チーム内での役割として機能するようにします。サポートや確認が必要な業務については、チームメンバーやリーダーと連携し、適切なフィードバックが受けられる体制を整えましょう。

 

 

 

3. 障害者雇用の成功のために押さえておくべきポイント

職場環境の整備

物理的な環境(段差のないオフィス、休憩スペースの確保)だけでなく、心理的なサポート体制を整えることが重要です。定期的なコミュニケーションを通じ、困りごとがあれば早めに対応できる体制を確立しましょう。

 

フィードバックと柔軟な対応

業務を割り当てる際に、定期的なフィードバックを行い、適宜内容を調整していくことも大切です。特に初めての業務では、改善点を適切に伝えるとともに、対応が難しい部分があれば内容を見直し、持続可能な働き方を追求します。

 

キャリアパスの提供

単なる作業の担い手としてではなく、長期的なキャリア形成の視点で支援することも、企業と本人双方の成長に役立ちます。スキルの向上や新たな業務への挑戦機会を提供し、モチベーションの向上を図りましょう。

まとめ

障害者におすすめの業務を切り出すには、障害特性に合わせた業務の分解と適切な支援が欠かせません。企業全体が適応し、協力し合うことで、働きやすい環境が整い、企業としても大きな利益を享受できるでしょう。

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