2歳1ヶ月の子どもと一緒に、上野の国立科学博物館と上野動物園へ。

今回はその体験を、発達的な視点とともに記録します。
国立科学博物館|知っているものが増えた驚き
親と子のたんけんひろば「コンパス」
はじめはクリア標本の観察コーナーから
最初に向かったのは、クリア標本の展示エリア。1歳の頃はお花にしか反応していなかったのが、今回は「ちょうちょ!」「カブトムシ!」「トンボ?(実際はハチ)」「いちご」「さかな!」と、反応する対象がぐっと増えていました。
図鑑や日常経験の蓄積が「知っている!」という認識につながり、観察行動が促されていると感じます。
お絵描きコーナー
クレパスを出して描いたり、しまったりを繰り返し、「道具を使う」「出し入れする」という操作活動に没頭していました。
発達的には手先の巧緻性、目的を持った操作、そして集中持続時間の伸びが見られます。
鏡との対話:自己認識の発展
コンパス内には鏡を使った遊びもあり、特に窪んだ鏡での「タッチ」や「チュー」の遊びが印象的でした。
1歳の頃は“面白いもの”として楽しんでいたのが、今回は「自分が写っている」「自分と遊んでいる」というメタ認知的な反応に変化していました。
また、波打つ鏡では立ち位置を調整して変化を楽しんでおり、因果関係の理解や予測的思考も見られました。
コンパス内の遊具への反応の変化
1歳の頃に夢中で登っていた滑り台やはしごには、今回は「こわい」と言って近づかず。
この変化は、身体感覚への慎重さの発達やリスク認識の現れかもしれません。
成長に伴い、行動が必ずしも大胆になるわけではなく、むしろ“怖さ”を感じるようになるのも健やかな発達の一部です。
地球史ナビゲーターで「理解」が始まる
1階の「地球史ナビゲーター」では、宇宙〜生命〜人類の進化がアニメーションでわかりやすく展示されています。1歳の頃から好きでしたが、今回はより長く映像に見入っていました。

既存の知識や経験と結びつける声かけをすることで理解の芽が育つことを実感。
これは幼児期のスキーマ構築(既知とのつながりによる理解)の好例です。
「知っている」ことで楽しめる展示が増える
「地球の多様な生き物たち」展示では、「ちょうちょいる!」「マンボウいた!」と声をあげて喜んでいました。
生き物に名前がつくことで、世界への興味が急に広がる時期。語彙の爆発期が“学びの足がかり”になっているのを感じました。
上野動物園|絵本と実物がつながる
パンダを探してワクワク
「パンダさんいるかな?」と入園前から期待に満ちていた様子。
「いない?」と不安そうに聞いたりと、想像と現実のやりとりが楽しい時期。
見たい動物がいる、という目的意識が行動に結びつくようになったのは大きな変化です。
見たことある?から“比較”へ
カバを見て「ぞう?」と。
確かに色や形が似ていて、既知のものと新しいものを比較・分類する力が育ちつつあることを感じます。
キリンを見て「長い?」と聞いたり、カメや魚などの好きな動物に反応したり、全体を通して非常に積極的でした。
絵本とのリンク:知識の定着
「かばんうりのガラゴ」など、絵本で見たことがある動物は意図的に見せました。
帰宅後に絵本を読むと「見たね!」と反応し、以前は興味を示さなかった絵本にも関心を示すように。
この“実物→絵本”の順番は、記憶の定着や新しい興味の扉を開く上で非常に効果的だと感じました。
まとめ|「体験」が「知っている」を広げる
今回のお出かけで感じたのは、「知っていることが増えると、楽しみ方が深まる」ということ。見えるものが変わり、反応が変わり、語る言葉も変わります。
大人から見ると同じ場所でも、子どもにとってはまったく新しい体験の連続です。だからこそ、一度行った場所も「もう一度行く価値」がある。発達に合わせて見える世界が変わるからです。
図鑑や絵本、遊びとつなげながら、これからも子どもの“知ってる”が増える瞬間を一緒に楽しんでいきたいと思います。