2歳言葉の遅れの相談目安は?様子見で終わらせない家庭でできる関わり方
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教員歴6年の元教員が執筆
関わってきた子どもの数述べ300人以上
大切なのは、「何歳までに話すか」ではなく、「今、発達のどの段階にいて、何をサポートできるか」を理解することです。
この記事は、まず家庭でできる確認(観察)と、優先的に手をつけるべきことを整理します。
この記事でわかること
- 最初に確認すべきこと
- 言葉の発達の「順番」を見て、今どの段階かを判断する方法
- 家庭で今すぐできること
- 言葉が遅れる原因の整理と相談の目安
1. はじめに:言葉の発達は「なもなき発達」の途中
「うちの子、言葉が遅いかも...」という不安は、親御さんにとって大きなストレスになります。しかし、お子様は言葉が出ない間も、周囲の音を聞き、言葉の意味を理解しようと、目には見えない名もなき発達を続けていることが多いのです。
2. まず確認したい「話す」ための土台
耳の聞こえの確認
言葉の発達は「聞くこと」から始まります。呼びかけへの反応、大きな音への反応、名前を呼んだ時の振り向きなど、聞こえに不安がある場合は、早期に耳鼻咽喉科などで専門的な検査を受けましょう。
言葉の理解
日常生活で親の指示(例:「おもちゃを片付けて」「靴を持ってきて」)が通るかを確認しましょう。言葉の理解力があるかどうか確かめておくことも大切です。
3. 知っておきたい「レイトトーカー(LT)」とは
言葉の遅れの原因と「レイトトーカー」の定義
言葉の遅れの原因はさまざまですが、その中でも以下の特徴を持つ原因不明の言葉の遅れの子どもをレイトトーカー(LT:Late Talker)と呼びます。
- 知的な遅れがない
- 日常生活での言葉の理解に問題がない
- 人とのコミュニケーション(関わり)に問題がない
※LTは言葉の遅れの中でも「言葉の表出のみ」が遅れているケースを指します。
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📈 発生率と追いつきの可能性
LTは2歳児の10〜15%に生じ、男の子の方が女の子より3倍生じやすいことが知られています。
- ほとんど(約7〜8割)が3歳までに言葉の遅れに追いつき、学童期以降の言語や読みの検査成績が定型発達の範囲内に入ります。
- ただし、追いつかない子もいます。追いつかない場合は、言語発達障害や学習習得のつまづき、その他の発達障害の可能性も含まれるため、注意が必要です。
⚠️ 「そのうち追いつく」の一辺倒な助言が適切ではない理由
支援者は多くの場合、「言葉の遅れは個人差の範囲である可能性が高い」というポジティブな根拠や、「親御さんにこれ以上のプレッシャーを与えたくない」という配慮から、様子見を勧めることがあります。
しかし、この「様子見」という言葉こそが、保護者の方の不安とストレスを置き去りにしてしまうことがあります。
「うちの子は大丈夫だろうか」と心配になり、ネットや育児書を過剰に調べて、かえって疲れてしまう方もいるのではないでしょうか。
様子見と言われたら、ぜひご自身で以下の2点を意識してみてください。
1. 客観的な「判断の目安」を持つこと
次章で解説する「表出語彙の数」や「言葉の理解度」といった客観的な指標を頭の片隅に置き、発達状況を見守りましょう。
毎日の完璧な記録は不要です。「昨日より〇〇ができるようになったな」という良い変化をメモする程度で十分です。
2. 今できる「家庭での支援」を始めること
追いつく可能性が高いLTであっても、適切な支援は言語発達を促します。
5章でご紹介する「応答的な関わり」など、家庭で今日からできる具体的な支援をすぐに始めましょう。
「ママ/パパはわが子のためにできることをしている」という安心感が、保護者自身のストレス軽減にも繋がります。
4. 我が子がLTかどうかを判断する目安
LTかどうかは、個人差が大きい1~2歳ではなく、2歳を過ぎてから判断されることが一般的です。以下のような基準が用いられます。
2歳過ぎの判断基準
以下の項目を満たす場合、LTと判断される可能性が高くなります。
- 表出語彙が50語以下である
- 2語文がほとんどない
- (上記に加え)日常生活での理解力や、人とのコミュニケーションに問題がない
※保護者チェックリスト(日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙など)を用いて客観的な語彙数が判断されることがあります。
言葉の発達のどこでつまづいているか
言葉の発達には順番があり、どこでつまずいているかを知ることも大切です。
- A. 言語獲得前後が課題: 言葉が出ない、発音が未熟、「パパ」「ママ」などの音が出ない、2語文が出ない。
- B. 適切な言語の使用が困難:オウム返しが多い、会話が不自然。
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5. 家庭でできる具体的な支援とアプローチ
適切な言葉かけの基本:「応答的で自然な文脈に沿った言葉かけ」
親が主導するのではなく、子どもの行動や興味に応じる形で言葉をかけることが、言語発達を促します。
教えるのではなく、子どもの気持ちや行動を言葉にして代弁しましょう。
- 擬音語・擬態語を多用する:「キラキラ」「ドンドン」「ふわふわ」など、感覚に訴える言葉は子どもの言葉の習得を助けます。
- 子どもの興味に合わせる:子どもが車のおもちゃに夢中になっている時、「ブッブー」と発声したら、「ブーブー、走ってるね!」「速いね!」と、子どもの関心のあるものに焦点を当てて言葉を返します。
- 動詞を意識して使う:語彙数が50語を超えて2語文へ移行する際、動詞の習得が重要になります。「ワンワン、ねんね」「ママ、たべる」のように、動詞を強調して使いましょう。
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言葉を引き出す「構音(発音)ストレッチ」
発音の習得にはお口の体操などで音を作る器官へのアプローチができます。
遊びを通して、構音器官を動かしましょう。
- 「吹く」「吸う」遊び: ローソクの火消し、シャボン玉、笛、吹き戻し(ピーヒャラ)など、息をコントロールする遊びは発音に必要な筋肉を鍛えます。
- 声の振動を感じる遊び:子どもの指を親の喉に触らせて声の振動を感じさせる。「あー」と言って風船に声の振動を伝える。
- 口の体操:「あ・い・う・べ」体操など、舌や口を大きく動かす遊びを取り入れる。
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6. 介入のタイミングと正しい情報先
専門家への相談はいつ?「手遅れ」への不安を解消するために
「早めにしないと手遅れになるのではないか」「どの段階で相談すればいいかわからない」—これは、言葉の遅れに悩む保護者の方が最も抱える不安です。
まず、最も大切なことをお伝えします。
早期相談が大切だと言われるのは、「手遅れになるから」ではなく、親の不安を解消し、その子に合った正しい支援方法を早く知り、ストレスなく関われるようになるというメリットがあるからです。
お子様の発達段階に合わせた相談の目安
| タイミング | 相談の目的 | 具体的な目安とアクション |
|---|---|---|
| 【親の気持ち】不安を感じた時 | 親の安心を最優先にする | 親御さん自身が「心配で夜も眠れない」「一般的な助言では不安が解消されない」と感じた時点で相談しましょう。言葉の発達状況に関わらず、不安を取り除くことが最優先です。 |
| 【必須の確認】2歳児検診前後 | 専門的な評価を受ける | 以下のいずれかに当てはまる場合、専門家(言語聴覚士など)への相談をお勧めします。客観的な評価を受けることで、LTなのか、他の支援が必要な状態なのかを判断できます。 |
|
👩⚕️ 支援者からの「一般的な助言」で終わらせないために
支援者からの「たくさん関わって」「言葉かけをたくさんしましょう」という一般的な助言だけでは、「うちの子に合っているの?」「具体的に何をすればいいの?」と不安になるのは当然です。
支援者がこうした一般的な助言に留まるのは、集団検診や相談会では、個別の詳細な評価をする時間的制約があることが大きな理由かもしれません。
不安が解消されない場合は
もし、一般的な助言しかもらえず不安が解消されない場合は、「今の時点でお子様の言葉の発達について専門的な視点から評価してほしい」と、言語聴覚士などへの相談を自分から求めましょう。
✅ 専門家へ相談する際に役立つこと(記録は頑張りすぎないで)
- 「子どもの得意なこと/苦手なこと」を伝える: 単に言葉が遅いだけでなく、「指さしはよくする」「興味のあることはよく理解できる」など、わが子の良い面と苦手な面を具体的に伝えましょう。
- 「具体的な言葉かけの例」を尋ねる: 「うちの子は今『ブーブ』という単語が出ていますが、次に繋げるためには、どのような言い方を意識すれば良いですか?」など、具体的な接し方を尋ねましょう。
- 【記録は頑張りすぎないで】 記録が必要な場合も、「〇月〇日、新しい単語(〇〇)が出た」「〇〇に興味を示した時に、〇〇と代弁した」など、ポジティブな変化や、試した関わり方をシンプルに残すだけで十分です。お子さんとの関わりを楽しむことを最優先にしましょう。
おわりに
言葉の発達には個人差がありますが、そうは言っても親御さんにとっては心配になり、焦る気持ちは自然です。
大切なのは、お子様の持つ力を信じ、今の発達段階に合った「応答的な関わり」を継続していくことです。
必要であれば、専門家という心強い味方と共に、お子様の成長をサポートしていきましょう。
参考書籍

