広告 見えない特性を読み解く

『できない』には理由がある。見えない特性を読み解く、感覚統合と発達の土台とは?

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教員歴6年の元教員が執筆

関わってきた子どもの数述べ300人以上

 

子どもが落ち着かない、こだわりが強い、すぐ疲れてしまう。

大人でも、「音にすぐ疲れる」「服の素材がどうしても無理」「座っているだけで消耗する」など、言葉にしにくい生きづらさを抱えている人は少なくありません。

さわり
さわり
こうした“生きづらさ”や“困りごと”は、性格や努力不足ではなく、「身体がどのように情報を受け取り、処理しているか」と深く関係しています。私はこれをまとめて「見えない特性」と呼んでいます。

担任時代に出会った「文字がヘナヘナになってしまう子」

さわり
さわり
小学校1年生の担任だったとき、文字をしっかり書くことが難しい子がいました。
 

児童の様子

マスの中に線をまっすぐ引こうとしても、ヘナヘナと頼りなく曲がってしまう。書きたい気持ちはあるのに、うまくいかない様子が続いていました。

 

「この子には個別の対応が必要だろうな」と感じつつも、当時の私は、何をどう支援したら良いのか分かりませんでした。

とりあえず自分でなぞり書きのプリントを作って、毎日一緒に取り組むことにしました。

一方で、心のどこかで「きっともっと根本的な理由があるはずだ」とも薄々感じていました。

でも、土日もほとんど学校にいる生活。落ち着いて勉強したり調べたりする余裕は、正直ありませんでした。

その後、学びを深めていくうちに、

「できないこと、困りごとには、必ず理由がある」

ということを少しずつ実感するようになりました。

字が書けないからといって、「字を書く練習」だけをひたすら増やしても、うまくいかないことがあります。

ペンを持つ以前の「姿勢」「体の軸」「手指の感覚」、さらにさかのぼると「乳児反射」など、感覚や発達の土台にアプローチする必要がある。

今の私は、それらをまとめて「見えない特性」と呼んでいます。

この記事では、

  • 乳児反射
  • 感覚統合(触覚・固有感覚・前庭感覚)
  • そこから立ち上がる行動

という“発達の流れ”から、この「見えない特性」を一緒に見ていきたいと思います。

子どもの話を中心にしますが、大人や発達障害のある方にもそのままつながる内容です。


1. 「見えない特性」とは?

ここでいう「見えない特性」とは、外からぱっと見ただけでは分かりにくい、
身体と感覚の使い方のクセのことです。

例えば、次のようなものが含まれます。

 

メモ

  • 音・光・においなどの刺激に反応しやすい/しにくい
  • 身体の位置感覚やバランスの取り方にクセがある
  • 動き始めると止まれなかったり、逆に動き出すのがとても苦手
  • 人との距離感がつかみにくい
  • 特定の素材の服・靴・食感がどうしてもつらい

 

こうした違いは、発達障害のある人では特に強く出やすいとされていますが、
診断の有無に関わらず、誰にでも程度の差は存在します。

さわり
さわり
外からは見えにくいからこそ、
「わがまま」「甘えている」「やる気の問題」
と誤解されやすいところが、このテーマの難しさでもあり、同時に「理解できたときの安心感」が大きい部分でもあります。

2. 発達の最初にあるもの:乳児反射という“初期仕様”

私たちは、生まれたときから自分の意思とは関係なく働いている
乳児反射と呼ばれる自動反応を持っています。

これは「発達の初期仕様」のようなもので、
のちの動きや感覚の土台としてとても重要です。

2-1. 乳児反射は「感覚システムの原型」

乳児反射は単なる「動きのクセ」ではなく、
触覚・前庭感覚(平衡感覚)・固有感覚と深く結びついています。

  • 口まわりを触ると頭が向く(探索反射・吸啜反射) … 触覚 × 口の動き
  • 手のひらを触るとぎゅっと握る(掌握反射) … 触覚 × 固有感覚
  • 頭が急に後ろに倒れると手足をビクッと広げる(モロー反射) … 前庭感覚 × 触覚

こうした反射は、生後の数カ月〜1年頃にかけて少しずつ弱まり、別の動きへと置き換わっていくとされています。
この「自然に統合されていくプロセス」がうまくいくかどうかが、
のちの姿勢・食事・集中力などにも影響してきます。

 

2-2. 私が家庭で意識していた「反射と感覚」の見方

我が家では、乳児期から次のような点を意識して観察していました。

  • 舌の反射が残っているうちは、離乳食のスタートを焦らない
  • 足の握る反射が残っているときは、無理にファーストシューズを進めない
  • 手・指・足をよく触り、マッサージやふれあい遊びで「触られる経験」を増やす
  • 支援センターなどで覚えた童歌遊びを一緒に楽しむ(リズム×感覚入力の良い刺激)

手遊び歌も良いのですが、わが子の場合は特に童歌への食いつきがよく、
反射の統合にも感覚の育ちにも良い刺激になっていたと感じています。


3. 土台の感覚システム:触覚・固有感覚・前庭感覚

乳児反射という“初期仕様”を土台にして、
私たちの身体は少しずつ自分の意思で動きをコントロールできるようになっていきます。
その中心にあるのが、次の3つの感覚です。

  • 触覚: 皮膚を通して得られる感覚(触られる・温度・痛みなど)
  • 固有感覚: 筋肉や関節からの情報(身体がどこにあるか、どのくらい力を入れているか)
  • 前庭感覚(平衡感覚): 頭の傾き・回転・加速など、動きやバランスに関わる感覚

これらは「どれが先」「どれが後」という階段ではなく、
お互いに影響し合いながらネットワークのように働いていると考えるのが自然です。

また、発達障害のある方では、これらの感覚の反応が強く出たり弱く出たりする“揺れの幅”が大きいため、
日常生活の中で困りごととして表面化しやすいと言われています。


4. 触覚:安心と拒否反応の入り口

触覚は、単に「触られて心地よい/不快」というだけでなく、
安心感・人との距離・食事・睡眠などにも大きく関わる“入り口の感覚”です。

触覚の反応が強めに出ると、服のタグや特定の素材がどうしても苦手だったり、
ドロドロ・ベタベタしたものを嫌がったりします。
一方で、反応が弱く出ると、強めの刺激を求めて乱暴に触ったり、
手が汚れていてもあまり気にならなかったりします。

4-1. 私が家庭で意識していた「触覚」の育て方

 

さわり
さわり
私自身、家庭では触覚をかなり意識的に育ててきたと感じています。
0歳から今まで、ざっくり言うと次のようなことを続けてきました。

 

● なんでも舐める時期を「感覚の入口」として大事にする

  • 最初はなんでも舐めるので、基本的にすぐ止めない
  • その代わり、舐めてはいけないものは子どもの手の届く場所に置かない
  • 「ダメ」と言わなくて済む環境設定を先に整える

舐めることは、赤ちゃんにとって口まわりの触覚と味覚を使った大切な探索だと捉えていました。

● いろんな質感に触れる小さな感覚遊び

わが子は最初、ドロドロしたものを嫌がる傾向がありました。
そこで私は、それを「小さな過敏」と捉え、
次のような段階的な感覚遊びを意識しました。

  • 比較的嫌がりにくいものからスタート
    • 紙を破る(ビリビリという音と感触)
    • マカロニを触る(サラサラした乾いた感触)
  • 少し慣れてきたら、感触の幅を広げていく
    • 寒天ゼリーを触る(ぷるぷる・冷たい)
    • 粘土を触る(こねる・ちぎる)
    • 泡を触る(ふわふわ・消えていく感触)

こうした小さな遊びが発展して、いわゆるセンサリープレイ(感覚遊び)を日常的に用意するようになりました。
初めは嫌がっていたドロドロやネバネバも、
少しずつ「自分から触ってみようかな」という姿が出てきたのを覚えています。

関連記事:泡は何分もつ?ハンドソープで簡単センサリープレイ

 

● ご飯も「感覚統合の一環」として捉える

食事もただの栄養摂取ではなく、
毎日の触覚・味覚・固有感覚の練習だと考えていました。

  • 離乳食初期の数口の時期はスプーンで食べさせる
  • その後は、基本的に手づかみ食べを中心にする
  • 手や周りがドロドロになっても、「毎日いろんな感覚に触れるチャンス」と捉える

自分の体を動かして食べることで、
口と手の位置を大まかに把握する(粗大運動的な感覚)経験が積み重なります。
そのあとでスプーンなどの食具に移行した方が、
微細なコントロールがしやすくなるのでは、と考えていました。

上記は触覚の要素が強いですが、
「食べ物を運ぶ」「口を開ける/閉じる」といった動きには、
固有感覚も深く関わっています。

 

さわり
さわり
ちなみに私は部屋が散らかっても気にならないタイプで、手掴み食べで汚れるデメリットよりも感覚遊びを用意する手間が減ることや脳の統合が進む、手先が器用になるなどのメリットを大きく感じていました。

散らかるのがストレスな場合は必ずしも無理をする必要はないと思います。親の特性と子の特性のバランスをとって取り入れられるものだけ取り入れるのが無理なく続くコツです。

関連記事:親の特性を無視した子育ては続かない。家庭ごとの“ちょうどいい育て方”の見つけ方

↓マスカーテープを下に敷くとこぼれても片付けが楽でした。

 


5. 固有感覚:身体地図と動きの予測をつくる

固有感覚は、「自分の身体がどこにあるか」「どのくらい力を入れているか」を教えてくれる感覚です。
ここに偏りがあると、次のような様子が見られます。

  • 物や人にぶつかりやすい
  • 力加減が難しく、物を壊してしまう・人を強く叩いてしまう
  • 食べこぼしが多い
  • 姿勢がすぐ崩れてしまう

5-1. 私が家庭で意識していた固有感覚へのアプローチ

我が家では、「身体の地図」を育てるイメージで、次のような環境をよく用意していました。

● ハイハイ期からの坂・障害物あそび

  • ハイハイに慣れてきたら、布団や枕を使って坂道をつくる
  • クッションや枕の上を乗り越える簡単な障害物コースをつくる
  • 家だけでは難しいときは、坂のある遊び場をリサーチして出かける

坂を登る・降りる、ものをまたぐ・乗り越えるといった動きは、
足や体幹の固有感覚にたくさんの情報を送ってくれます。

 

● 芝生や砂、凸凹道をあえて選ぶ

  • 芝生や砂の上をハイハイ・歩行でたくさん経験する
  • 歩けるようになってからも、なるべく平坦なアスファルトだけでなく、坂道や凸凹道を通るよう意識する
  • 近所でコンクリートではない道、森のような場所がないか探しておく
  • ソファによじ登るのを見守る

これらは触覚と固有感覚の両方に働きかける刺激です。
「安定しない地面で身体をどう動かすか」を体験することで、
身体地図がより立体的になっていくイメージを持っていました。

 

● 頭をぶつける経験も、身体学習の一部と捉える

子どもが頭をぶつけそうな場面でも、私は事前の予告をしすぎないようにしていました。

もちろん危険な高さや鋭利なものは避けますが、
「ちょっとぶつかる」「少し痛い」を経験することで、
次から子ども自身が自然と頭を下げて通れるようになるという変化が見られました。

これは、固有感覚と空間の感覚が更新されていくプロセスだと感じています。


6. 前庭感覚:興奮度・落ち着き・視線の安定を決める“見えない司令塔”

前庭感覚(平衡感覚)は、頭の傾きや回転、加速・減速などを感じる感覚です。
この感覚は、姿勢・バランス・目の動き・集中力・興奮のしやすさに深く関わります。

前庭感覚の反応が強く出ていると、次のような行動が目立つことがあります。

  • 走り回る・ジャンプする・回転する
  • 高いところに登りたがる
  • じっと座っているのがつらい
  • 椅子をガタガタさせる

6-1. 我が家で意識していた「前庭感覚」の育ちを支える環境

● 家にトランポリンを置く

室内でも上下動の動きができるよう、トランポリンを購入しました。
飛ぶ・止まる・バランスを取るといった動きは、前庭感覚と固有感覚の両方を刺激します。

関連記事:【雨の日でも元気を発散!】子どもが室内で大はしゃぎするトランポリンの魅力

 

● ソファでの遊びをすべて止めない

ソファに登る、ソファからジャンプするなど、
一般的には「やめなさい」と言われやすい遊びも多いと思います。
我が家では、安全面に配慮した上で、
「前庭感覚を育てている時間」として、すべてを禁止しないようにしていました。

 

● 坂道・凸凹道を日常コースに組み込む

固有感覚のところでも触れましたが、坂道や凸凹道を日常的に歩くことは、
前庭感覚にとっても大切な経験です。
上り下り・足場の変化・速度の変化が、豊かな刺激を与えてくれます。


7. 行動に出ている“サイン”をどう読むか

ここまで見てきたように、乳児反射 → 土台の感覚システム(触覚・固有感覚・前庭感覚) → 行動
という流れで発達を捉えると、日常の行動が「ただの問題行動」ではなく、「身体からのメッセージ」として見えてきます。

例えば、こんな行動です。

  • なんでも舐める・触る・散らかす
  • 同じ遊びや動きを延々と繰り返す
  • 食べこぼしが多い・座って食べにくい
  • 大きな声を出す・走り回る
  • 靴や服を嫌がる
  • 人や物によくぶつかる
  • 高いところに登る
  • 切り替えが難しい・すぐに泣いてしまう

 

これらはすべて、
「どれかの感覚の入力が足りない・強すぎる・処理が追いついていない」
などを見るためのヒントです。

さわり
さわり
「どうしてそんなことをするの?」ではなく、「どの感覚の使い方と関係しているのかな?」と考えてみると、
子どもの姿も、大人自身の生きづらさも、少し違って見えてきます。


8. 感覚プロファイルをつくるという考え方

最後に、私が大切だと感じているのが、
一人ひとりの「感覚プロファイル」を見立てるという視点です。

ざっくりとしたもので構わないので、次のような項目をメモしておくと、
その人に合った環境設定や関わり方がとても考えやすくなります。

  • 落ち着きやすい刺激(音・光・触覚・動きなど)
  • 苦手が出やすい場面・刺激
  • 好む動き(走る・揺れる・ジャンプする・じっくり作業 など)
  • 避けたがる触覚(ドロドロ、ザラザラ、高温・低温 など)
  • 興奮が高まりやすいきっかけ
  • 落ち着きを取り戻しやすい条件(姿勢・場所・人・音など)
  • 身体の使い方のクセ(ぶつかりやすい、机に近づきすぎる など)

こうしたプロファイルが見えてくると、

  • 子どもにとって無理のないお出かけ先や遊びの選び方が分かる
  • 大人自身も「自分のしんどさの正体」が少しずつ言葉になる
  • 発達のつまづきの“早めのサイン”に気づきやすくなる

行動そのものを「良い・悪い」でジャッジするのではなく、
その奥にある感覚と身体の使い方を理解しようとすることが、
子どもにとっても、大人にとっても、生きやすさにつながっていくと感じています。


9. おわりに:見えない特性を読み解くと、生きづらさは必ず減る

乳児反射という“最初の仕組み”から、触覚・固有感覚・前庭感覚といった土台の感覚システム、
そしてそこから立ち上がる行動までを一つの流れとして見ると、
子どもの姿も大人の姿も、今までよりずっと立体的に見えてきます。

「見えない特性」を読み解くことは、
誰かを“特別な存在”としてラベリングするためではなく、
その人の困りごとの理由を一緒に探し、環境や関わりを調整していくための視点だと思っています。

私自身、触覚・固有感覚・前庭感覚・乳児反射という言葉を知ったことで、
わが子の発達や、子ども時代の自分自身のつまづきを、少しずつ言葉で説明できるようになりました。

すべてを完璧に理解する必要はありません。
まずは、

  • 「行動の前に、身体と感覚の世界がある」こと
  • 「発達の最初には乳児反射があり、その後も感覚の使い方は一人ひとり違う」こと

この2つを、頭の片隅に置いておいてもらえたら嬉しいです。

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