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教員歴6年の元教員が執筆
関わってきた子どもの数述べ300人以上
特別支援学校で摂食介助経験あり
この記事では、元特別支援学校教員の視点から、
いつから始めればいい?/どう教えればいい?/なぜつまずく?
を発達のしくみと一緒に、わかりやすく解説します。
1. コップ飲みはいつから?哺乳反射との関係
1-1. 哺乳反射が弱まると「自分で飲む準備」が始まる
赤ちゃんには、生まれつき「乳首を探す・吸う」ための反射(サーチ反射・吸啜反射)があります。

これらの反射は、生後4〜6ヶ月ごろから少しずつ弱まり、「自分の意思で口を閉じる・すする」動きが増えてくると言われています。
このあたりから、離乳食やスプーン、コップへの移行が現実的になってきます。
1-2. 月齢よりも「発達の状態」を見るほうが大事
ポイント
- 首がしっかりすわっている
- 抱っこや椅子に座ったとき、頭がぐらぐらしすぎない
- 手が口のあたりに届きやすく、「真ん中」に集まる動きが出てきている
コップ飲みは「口だけの問題」ではなく、首・体幹・手の動きとセットの動作だと考えるとイメージしやすいと思います。
2. 体の軸と姿勢が、なぜコップ飲みに影響するのか
2-1. 姿勢が安定すると、口の動きも安定する
特別支援の現場でもよく見られるのが、「姿勢が不安定な子ほど、食べる・飲むが難しくなる」ということです。
例えば、
- 足がぶらぶらしている椅子で飲んでいる
- 背中が丸まりすぎていたり、反り返りやすかったりする
- 頭が大きく前に倒れたり、後ろに反ったりしやすい
2-2. まんまる抱っこ・おひなまきとのつながり
赤ちゃん期の抱き方や環境づくりも、コップ飲みと無関係ではありません。
よく知られている考え方として、
- まんまる抱っこやおひなまきで、体が柔らかく、真ん中にまとまりやすくなる
- 赤ちゃんの手が身体の中心に来やすい姿勢をつくることで、将来の「軸」の安定につながる
といったものがあります。
一方で、
- おっぱいのときに、いつも手が親の体の外側に流れた姿勢が続く
- 縦抱きで反り返った姿勢+お口ポカンが日常的に続く
などの場合、
- 体が硬くなりやすい
- 体の軸がぶれやすい
- 上顎がきれいなカーブを描きにくい
といった話もあります。
すべての子に当てはまるわけではありませんが、「体の軸」と「口の使い方」はつながっているという視点を持っておくと、コップ飲みのつまずきも理解しやすくなります。
3. 離乳食とコップ飲みに共通する「口を閉じる」感覚
3-1. スプーンの使い方:上唇にこすらない

離乳食の場面でよく見かけるのが、
- 親がスプーンを上唇に押し当てて、こすり取るように食べさせる
というやり方です。
しかし、発達や口の動きの視点から見ると、より望ましいのは、
- スプーンを下唇の上にそっと置く(食べ物がきたことに子どもが気づく)
- 子どもが自分で「口を閉じて、食べ物を取り込もうとする動き」を待つ
- そのタイミングで、スプーンをまっすぐ引く
という流れです。
こうすることで、
- 「自分で食べた」という主体的に食べる感覚が育つ
- 唇や舌、顎の動きが、発達の順番に沿って育ちやすい
といったメリットがあります。
3-2. コップ飲みにも「待つ場面」がある
コップ飲みも、基本の考え方はスプーンと同じです。
- コップを大きく傾けてガーッと流し込むのではなく、
- コップのふちを下唇にそっと当てる
- 子どもが「すする・口を閉じる」動きを待つ
4. コップ飲みのステップ:発達の順番に沿った進め方
発達の時期(スピード)は子どもによって違って良いですが、「動きの順番」にはある程度の流れがあります。
ここでは、コップ飲みまでの大まかなステップを整理します。
ステップ1:スプーンで啜り飲み
- まずは浅いスプーンに飲み物を入れて、赤ちゃんの口にスプーンを横向きに当てます。
- 赤ちゃんの啜る動きを引き出すイメージです。
ステップ2:親が持って、一口だけ飲む
- 親がコップを持ち、下唇にふちを当てる
- 1〜2口だけ、少量をすする経験を重ねる
- コップやおちょこなどのコップの淵の半径が小さめの方が赤ちゃんの口の大きさにあっていて溢れにくく飲みやすいです
ステップ3:親が持ちつつ、両手を添えさせる
- 子どもが自分の手をコップに触れられるようにする
- 重さや角度を「一緒に」感じるステップ
ステップ4:子どもが両手で持ち、親が傾きをサポート
- 両手でコップを持ち、自分で「口の位置に運ぶ」練習
- 傾けすぎないよう、親が下から支える
ステップ5:自分で持って傾けて飲む
- こぼれてもよい環境で、試行錯誤できるようにする
- 「こぼしながら学ぶ」経験も、発達の一部と捉える
一気に「ステップ4」を目指すのではなく、その子が今どのステップにいるのかを見極めてあげるのがポイントです。
おすすめのコップ
5. よくあるつまづきと、その裏にある“発達の理由”
5-1. すぐむせる/咳き込みやすい
- 流れ込む量が多い(コップの傾けすぎ)
- 頭や首の位置が反り返り気味
- 姿勢がぐらぐらして安定していない
→ 量を減らす・角度を浅くする・姿勢を整えることで改善することがあります。
5-2. コップを噛んでしまう
- 口で確かめる感覚遊びの一つ
- 今は「噛む感覚」のほうに興味がある時期かもしれない
→ 強く叱るより、「かむもの(おもちゃ・歯固め)」と「飲むもの(コップ)」を分けて提案していくほうがスムーズです。
5-3. コップを嫌がる/近づけると顔をそむける
- 以前の経験で「むせた」「怖かった」記憶がある
- 温度・におい・量など、何かがその子に合っていない
→ 無理に進めず、スプーンなど他の手段と並行しながら、少しずつ再チャレンジしていくイメージがおすすめです。
6. ストロー・マグ・コップの関係性を整理する
6-1. ストロー飲みは早くないほうが良い?
ストロー飲みは、
- 陰圧で吸い込む力
- 唇を閉じて吸う動き
が必要で、一見すると高度な動作に思えます。
ただし、
- 授乳期の「吸う」動きと似ている
- コップよりも「傾き・重さ」のコントロールがいらない
という点から、ストローのほうが簡単にできてしまう子も多いです。
その結果、
- ストローだけが得意で、コップに移行しにくくなる
- 本来コップで育つはずの「傾き・量のコントロール」の経験が減る
- おっぱいを吸う動きと似ているため吸啜反射が残ってしまい、正しい嚥下が身につきにくくなる
といったケースもあります。
7. 専門家に相談したいとき:どこに何を聞けばいい?
コップ飲みがなかなかうまくいかないとき、最初の相談先としては、
- 子育て支援センター
- 保育士さん・保健師さん
などが身近で相談しやすい場所だと思います。
一方で、「口の動き」「飲み込み」「歯並び」「顎の発達」など、もう少し専門的に見てほしい場合には、
- 言語聴覚士(ST):飲む・食べる・話すなど口の機能の専門家
- 小児歯科・歯科衛生士:歯・噛み合わせ・口腔機能の専門家
- 理学療法士(PT):姿勢や体幹など、全身の動きの専門家
といった専門職のほうが、より詳しくアドバイスできることが多いです。
元特別支援学校教員としての感覚としても、
- 「日常の工夫」は保育・子育て支援の先生
- 「口の動きそのもの」「構造の問題」はSTや歯科
といった形で、テーマごとに専門家を使い分けるのがおすすめです。
8. まとめ:コップ飲みは「できる・できない」ではなく、「どこが育ち途中か」を見る
コップ飲みは、
- 哺乳反射が落ち着いてきたタイミング
- 体の軸や姿勢の安定
- 手が真ん中に来る動き
- 自分で口を閉じる感覚
- 量や傾きのコントロール
といった、たくさんの要素が重なったタイミングで、少しずつできるようになっていくスキルです。
「もう◯歳なのにできない」と捉えるのではなく、
- 今はどのステップまで来ているのか
- どの部分が“育ち途中”なのか
- 姿勢や道具を変えることで、やりやすくならないか
といった視点で見てあげると、親子ともに少し気持ちがラクになると思います。
そして、気になる場合は、遠慮せずSTや小児歯科など専門家の力を借りることも、子どもの発達を支える大切な選択肢のひとつです。
この記事が、コップ飲みで悩んでいる親御さんの「モヤモヤの正体」を整理するきっかけになれば嬉しいです。



