『いい記事なのに検索で伸びない』を抜け出すSEO思考|検索意図(Go/Know/Do/Buy)から記事タイプを決める
「ちゃんと調べて丁寧に書いているのに、検索で全然伸びない……」
「上位の記事と比べても内容は負けてないはずなのに、なぜか自分の記事は埋もれてしまう」
もしそんなモヤモヤを感じているなら、足りないのは「文章力」よりも先に、
検索意図(ユーザーのQ)と、あなたの記事(あなたが返しているA)のズレかもしれません。
Googleは「世界中のQ(質問)が集まる巨大な質問箱」です。
検索窓に打ち込まれるキーワードは、すべて誰かの「Q」。
検索結果に並ぶページは、そのQに対する「A(答え)」です。
この記事では、検索意図の4分類(Go / Know / Do / Buy)を出発点に、
そこからさらに細かく「記事タイプ」を分けるフレームを紹介します。
そして、単に知識として覚えるのではなく、
- キーワードを見るたびに「この検索の意図はこれだから、この記事タイプで書こう」と決められる
- 「この記事のゴール(信頼/集客/収益/ファン化)」までセットで設計できる
- 一発で当てにいくのではなく、「仮説で書いて、試して、反応を見て修正する」サイクルに乗せる
ここまでできるようになることを目標にしています。
1. 検索意図とは?まずはGo / Know / Do / Buyを押さえる
まずは定番の4分類から。
検索意図とは、「読者が検索窓にキーワードを入れたとき、頭の中でどんな“用事”をしようとしているか」です。
Go:行きたい場所が決まっている(ナビゲーション)
「特定のサイトやページに行きたいだけ」の検索です。
- 例:楽天カード ログイン
- 例:Twitter
- 例:教育スキルアップラボ(サイト名検索)
行き先は決まっているので、「解説記事」を書いてもここでは勝負になりません。
Know:何かを知りたい(情報収集)
概念ややり方など、「知識や情報」が欲しいときの検索です。
- 例:感覚統合 とは
- 例:学級経営 コツ
- 例:検索意図 とは
Do:何かをしたい(行動したい)
「○○したいけど、やり方が分からない」「今つまずいているから助けてほしい」という検索です。
- 例:アレクサ 接続 方法
- 例:クレジットカード 引き落とし口座 変更
Buy:何かを買いたい(購入前提)
すでに「買う前提」で、候補や比較情報を探している検索です。
- 例:2歳 クリスマスプレゼント おすすめ
- 例:防災グッズ ランキング
- 例:子ども 冬服 感覚過敏
ここまでは、多くのSEO本や解説でもよく語られる内容です。
しかし「じゃあ、このキーワードなら具体的にどんな記事タイプで書けばいいの?」というところまでは、あまり丁寧に分解されていません。
そこで次からは、特にKnow / Do / Buyを、ブログで使いやすい形に細かく分けていきます。
2. Knowを4つに分ける:What/Why/How/Which
同じ「Know(知りたい)」でも、読者の「知りたい」の中身はかなり違います。
ここでは、Knowを次の4つに分けて考えてみます。
2-1. Know-What:何か?(定義・概要を知りたい)
「まずは言葉の意味や全体像を押さえたい」という検索です。
- 例:学級経営 とは
- 例:感覚統合 とは
記事タイプとしては「用語解説・基礎解説」が向いています。
この記事のゴールは、
- あなたの専門性・信頼を高める
- 他の記事へ内部リンクを貼る「ハブ」になる
つまり、いきなり収益を狙うというよりも、
「このテーマならこの人のブログを見ておこう」と思ってもらう起点です。
2-2. Know-Why:なぜか?(本質・背景・構造を知りたい)
「表面的なテクニックではなく、その裏にある仕組みや理由を知りたい」検索です。
- 例:なぜ学級経営はこんなに苦しいのか
- 例:なぜプレゼント選びは難しいのか
記事タイプは「コラム・背景解説・構造の話」など。
ゴールは、
- あなたの世界観・価値観を伝えてファンになってもらう
- 「この人の考え方が好きだから、他の記事も読みたい」と思ってもらう
いわばブランディング用の記事です。
即効性のPVや収益に直結しづらい一方で、長期的なファンづくりに効いてきます。
2-3. Know-How:どうやるか?(具体的なやり方・コツを知りたい)
「とにかく明日からどう動けばいいか知りたい」という検索です。
- 例:学級経営 アイデア
- 例:冬の自宅保育 遊び アイデア
- 例:ブログ 検索意図 考え方
記事タイプは「HowTo・手順・アイデア集」。
この記事のゴールは、
- 検索からの集客(アクセスを集める)
- 「このブログは実用的で役に立つ」と感じてもらう
今回のこの記事も、まさにKnow-Howの記事です。
「検索意図から記事タイプを決めるやり方を知りたい」人に向けて書いています。
2-4. Know-Which:どれを選ぶか?(実質Buy寄り)
「いくつか候補がある中で、どれが自分に合うか選びたい」検索です。
- 例:学級経営 本 おすすめ
- 例:防災ラジオ どれがいい
記事タイプは「比較・おすすめ・ランキング」など。
性質としてはすでにBuy(購入意図)に近いKnowです。
ゴールは、
- 読者の判断を手伝う(迷いを減らす)
- Buy系の記事(具体的な商品紹介)につなげる
まずはここまでで、自分の既存記事を思い浮かべてみてください。
- これは「Know-What」記事として書いたつもりだったのか?
- 本当はKnow-Whyなのに、タイトルだけHowっぽくなってないか?
このセルフチェックだけでも、「伸びない理由」のヒントが見えてくるはずです。
3. DoとBuyをさらに分ける:Do-How/Do-Fix、List/Compare/Review
3-1. Do:やりたい・直したい
Doは、大きく2つに分けられます。
Do-How:やり方を知りたい
- 例:アレクサ 接続 方法
- 例:WordPress アイキャッチ 設定 やり方
ゴールは「読者に“できた!”という成功体験を届けること」です。
Do-Fix:うまくいかないのを直したい
- 例:アレクサ 接続 できない
- 例:WordPress ログイン できない
ゴールは「つまずきポイントでの不安を解消し、早く問題を解決してもらうこと」。
トラブルシュート記事は、ニッチでも深い信頼につながりやすい領域です。
3-2. Buy:買う気は決まっている
Buyは、次の3つに分けて考えると設計しやすくなります。
Buy-List:候補一覧が知りたい
- 例:2歳 クリスマスプレゼント おすすめ
- 例:感覚過敏 子ども 冬服
記事タイプ:おすすめ○選・厳選リスト。
ゴール:アフィリエイト収益+「この人のリストは外さない」という信頼。
Buy-Compare:比較して決めたい
- 例:ポータブル電源 Jackery EcoFlow 比較
- 例:キッズシューズ サブスク 比較
記事タイプ:AとB(+C)を比べる記事。
ゴール:迷っている人の背中をそっと押すこと。
Buy-Review:実際の使用感を知りたい
- 例:Apple Watch 子育て 家事 レビュー
- 例:義足の防災士 本 感想
記事タイプ:実体験レビュー・感想。
ゴール:リアルな使用感で安心感を与える/他のBuy記事への入り口にもなる。
ここまでの「Know / Do / Buyの分解」をベースに、いよいよ記事設計の話に進みます。
4. STEP0:Googleは質問箱。「検索意図+記事ゴール」を先に決める
改めてもう一度だけ、イメージを整理します。
- 検索窓に入るキーワード=読者の「Q(質問)」
- あなたの記事=そのQに対する「A(答え)」
そして、この記事ではもう一つ加えます。
- あなたの記事のゴール=そのAによって「何を達成したいか?」
代表的な記事のゴールは、たとえばこんな感じです。
- 信頼を上げたい(専門性・経験を伝えたい)
- 集客したい(検索からのアクセスを増やしたい)
- 買ってもらいたい(アフィリエイト・自分の商品・サービス)
- 世界観を伝えてファンになってもらいたい
ざっくりとした対応イメージは、次のようになります。
- Know-What → 信頼アップ・内部リンクの起点
- Know-Why → 世界観・思想でファン化
- Know-How → 集客・「役立つブログ」という印象づけ
- Know-Which/Buy系 → 収益・「この人の選び方は信頼できる」と感じてもらう
記事を書く前に、メモ帳や下書きの一番上に、
- メインの検索意図ラベル(例:Buy-List、Know-Howなど)
- この記事のゴール(信頼/集客/収益/ファン化など)
この2つを書いておくだけで、タイトルや構成がぶれにくくなります。
5. STEP1:キーワードごとに「メイン意図ラベル」を1つ決める
多くの人がやってしまいがちなのが、
「1つの記事の中で、定義も、本質も、やり方も、商品紹介も、全部詰め込んでしまう」
というパターンです。
これを避けるために、まずやることはシンプルです。
「このキーワードのメイン意図ラベルを、1つだけ決める」こと。
具体的な手順
- キーワードを決める
例:2歳 クリスマスプレゼント おすすめ
- 実際に検索し、上位10記事のタイトルとざっくり構成をチェックする
- ほとんどが「○選」「おすすめ」で構成されているか?
- それとも「選び方のコツ」「失敗しないポイント」が前面に出ているか?
- 多数派の「モード」を観察する
- 一覧中心なら → Buy-Listが主戦場
- 解説中心なら → Know-How / Know-What が主戦場
- そのうえで、自分の記事の「役割」を決める
- わたしもBuy-Listで行く
- Buy-Listはほどほどにして、特性視点のKnow-Howを強めて差別化する
ここで大事なのは、最初から正解を当てに行かないことです。
「このキーワードは、たぶんBuy-Listが一番ニーズが強そうだから、今回はBuy-Listのつもりで書いてみよう」
と仮説を立てて書いてみて、実際の順位やクリック率を見ながら後から修正していく方が、結果的にうまく行きます。
6. STEP2:意図ラベルから「タイトル・構成・書き方」を逆算する
メイン意図ラベルが決まったら、次はそこから
タイトル・見出し構成・書き方を逆算していきます。
6-1. Know-How型の記事
目的:やり方・コツを知ってもらい、「できた!」を増やす
タイトルの例:
- 〜のやり方
- 〜のコツ
- 〜アイデア○選
構成のイメージ:
- まず「何ができるようになる記事か」をざっくり示す(全体像)
- ステップごとの手順、またはアイデア集
- つまずきやすいポイントと注意点
- 最後に、チェックリストや「まずはここからやってみて」の一歩
6-2. Buy-List型の記事
目的:候補一覧を見せて、検討の手間を減らす
タイトルの例:
- おすすめ○選
- 厳選○選
- 失敗しない〜の選び方
構成のイメージ:
- この記事のリストの前提(年齢・予算・どんな人向けか)
- 商品ごとの紹介(1つずつ:写真+ポイント)
- 選び方のポイント(軽いKnow-How)
- 予算やよくある質問(Q&A形式など)
6-3. Know-Why型の記事
目的:本質・背景を伝え、「見えない構造」を共有する
タイトルの例:
- なぜ〜なのか
- 〜の本質
- 〜の構造を分解する
構成のイメージ:
- よくある悩み・しんどさのパターンを描写する
- その背景にある構造・メカニズムを説明する
- よくある誤解を整理する
- 日常や仕事で「どう活かすか」の最低限のポイント
ここで紹介した型は、「絶対にこう書け」というルールではありません。
「このキーワードなら、この型に一番近そうだな」と当たりをつけて、
実際にやってみてから少しずつ自分流に崩していく前提で使ってみてください。
7. 事例1:「2歳 クリスマスプレゼント おすすめ」を当てはめてみる
具体例として、次のようなキーワードを考えてみます。
キーワード:2歳 クリスマスプレゼント おすすめ
7-1. 意図ラベルとゴールを決める
- メイン意図ラベル:Buy-List(候補一覧が知りたい)
- 記事のゴール:アフィリエイト収益+「特性視点の選び方」が信頼されること
ここで大事なのは、「なぜプレゼント選びは難しいのか」というKnow-Whyの話を、
最初に持ってこないことです。
読者はまず、「どんなプレゼントがあり得るのか」をざっと知りたくて検索しています。
なので、最初のセクションではBuy-Listとしての役割をしっかり果たし、そのうえで「特性」「発達」の視点を少しずつ足していきます。
7-2. タイトルと構成例
タイトル案:
【年齢別】2〜3歳向けクリスマスプレゼント10選|「特性に合う」おもちゃを元教員ママが厳選
構成例:
- この記事で分かること(どんな子向けのリストか)
- 年齢別のおすすめプレゼント一覧(Buy-List:メイン)
- 特性・遊び方別の“ハマりやすさ”のポイント(Know-How要素)
- なぜプレゼント選びは難しいのか(コンパクトなKnow-Whyで世界観を添える)
以前の自分なら、「なぜプレゼント選びは難しいのか」から書き始めていたかもしれません。
それを、「まずはBuy-Listとしての役割を果たし、そのうえで自分らしい視点を乗せる」という順番に変えるイメージです。
8. 事例2:「学級経営」の記事を2タイプに分けて考える
同じ「学級経営」というテーマでも、
意図とゴールが違えば、記事も分けた方が親切です。
8-1. パターンA:Know-Howメインの記事
キーワード例:
- 学級経営 コツ
- 学級経営 1年目
タイトル案:
新人の先生へ|4〜6月を乗り切る学級経営アイデア20選
- メイン意図:Know-How(明日からの具体的なやり方が知りたい)
- ゴール:集客+「役立つ記事」として保存してもらうこと
構成イメージ:
- 4〜6月に起こりがちなこと(全体像)
- 場面別・時期別の具体アイデア
- 全部やらなくていい、最低限の優先順位
- 本質系のKnow-Why記事への内部リンク
8-2. パターンB:Know-Whyメインの記事
タイトル案:
なぜ学級経営はこんなに苦しいのか|「上手い先生」の暗黙知を見える化する
- メイン意図:Know-Why(構造や背景を知りたい)
- ゴール:世界観を共有し、長く読んでくれる読者を増やす
構成イメージ:
- よくあるしんどさパターン(自分の経験も交えて描写)
- その裏側で働いている構造・暗黙知の説明
- 構造が見えると何が変わるのか
- 「明日からできる一歩」として、Know-How記事への導線
このように、同じテーマでも意図とゴールを分けて記事を分割すると、
- 検索ユーザーにとって分かりやすい
- ブログ全体としても整理されたサイト構造になる
というメリットがあります。
9. よくあるつまずきと「試して修正」のすすめ
最後に、このフレームを使うときによくあるつまずきと、
それを前提にした「試して修正」の考え方をまとめておきます。
9-1. ラベルを厳密に考えすぎて書けなくなる
「これはKnow-How?それともKnow-Why?」「Buy-ListとKnow-Which、どっち?」
と考えすぎると、手が止まってしまいます。
ラベルは7〜8割くらいの感覚で決めてOKです。
- とりあえず今回は「Buy-Listとして書いてみよう」
- この記事は「Know-How寄り」で行こう
と仮決めして書いてみて、
公開後の順位やクリック率・滞在時間を見ながら、あとからラベルや構成を微調整していけば十分です。
9-2. 1記事に全部盛りにしたくなる
真面目に勉強している人ほど、
- 定義(Know-What)
- 本質(Know-Why)
- やり方(Know-How)
- 商品紹介(Buy-List / Review)
を1記事に全部入れたくなります。
しかし、検索ユーザーからすると「結局このページは何の用事を叶えてくれるの?」がぼやけてしまい、離脱につながります。
迷ったときは、
- まずはメイン意図どおりにシンプルに書く
- 書ききれない部分は、別記事として切り出し、内部リンクでつなぐ
という発想に切り替えると楽になります。
9-3. 思ったように検索順位が上がらない
フレームどおりに書いても、すぐに1位になるとは限りません。
むしろ、「当てにいっても、外れることがある」ことを前提にした方が、長く続けやすいです。
順位やクリック率を見ながら、できることはたとえば次のようなことです。
- タイトルを、意図ラベルによりフィットする形に少し変えてみる
- 見出しの順番を、「ユーザーが一番先に知りたいこと」から始まるように入れ替える
- 「これはKnow-Howとして書いたけれど、実はBuy-Listが強いかも」と感じたら、別記事を追加する
SEOは、「仮説を立てて記事を書く → 反応を見る → 少し直す」という実験の繰り返しに近いです。
この記事のフレームは、その実験をやりやすくするための「ものさし」だと思ってください。
10. まとめ:検索意図ラベル+記事ゴール+「試して修正」のサイクルへ
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 検索意図はGo / Know / Do / Buyだけでなく、
Know-What / Why / How / Which、Do-How / Do-Fix、Buy-List / Compare / Reviewくらいまで分けると、記事タイプを選びやすくなる。
- キーワードごとに、「メイン意図ラベル」と「記事のゴール(信頼/集客/収益/ファン化など)」をセットで決めてから書く。
- 一発で完璧を当てにいくのではなく、
「この意図で、この型で書いてみる → 実際の反応を見る → タイトルや構成を少しずつ修正する」
というサイクルに乗せていく。
今日からできる一歩として、
まずは既存の記事を1本だけ選んで、
- 今のメイン意図ラベルは何になっているか?
- この記事のゴールは何だったのか?(信頼/集客/収益/ファン化…)
を書き出してみてください。
もし「意図とタイトルがズレているな」「ゴールと構成が噛み合っていないな」と感じたら、
タイトルを少し変えたり、見出しの順番を入れ替えたり、別記事として切り出したり……
そんな小さな「試して修正」からで大丈夫です。
そうやって1記事ずつ、「Qに対するA」を整えていくことが、
『いい記事なのに検索で伸びない』状態を抜け出す、いちばん地道で、いちばん効くSEO思考だと思います。